世界初 JAXAが開発中の宇宙ステーション用補給機へLED照明の採用が決定 壊れにくく、長寿命、高品質のLED照明技術が評価されました

文字サイズ
大
中
小

ここから本文です。

ニュースリリース2008年

2008年11月5日
世界初 JAXAが開発中の宇宙ステーション用補給機へLED照明の採用が決定
壊れにくく、長寿命、高品質のLED照明技術が評価されました

商品画像

 パナソニック電工株式会社のLED照明装置が、JAXA(独立行政法人 宇宙航空研究開発機構)が開発中の宇宙ステーション用補給機(HTV:H-II Transfer Vehicle)に採用されることが決定しました。
 これは、蛍光灯にかわる安全な照明として、当社のLED照明技術が評価されたもので、宇宙船内照明としてLEDの採用は世界で初めてです。


※ 2008年11月5日現在 当社調べ

■ HTVに採用される予定のLED照明装置の仕様

名称
PSL=Permanent Solid−state Lighting
サイズ(mm)
L 673mm × W 167.5mm
LED
高出力LED20灯
光色
白色タイプ
消費電力
約 29 W
入力電圧
DC120V(ISSから電源供給)
器具光束
約400ルーメン

 HTVは、有人の国際宇宙ステーション(ISS:International Space Station)への物資輸送手段としてJAXAが開発中の無人補給機で、HTV1機につき2〜4台のLED照明装置が使用される予定です。HTVがISSに結合した後、ISSの搭乗員がHTVから資材(実験ラック、飲料水、衣料など)を積み降ろしたり、ISSからHTVへ不要品を積み込む際に、この照明が作業場所を照らします。搬入出終了後、HTVはISSから分離され、大気圏に再突入し、燃焼廃棄されます。
 HTVの打ち上げは2009年夏から開始され、その後1年に1機の打ち上げが予定されています。当社のLED照明装置は、2010年以降打ち上げのHTVから、順次使用される見込みで、当社は2009年夏頃からJAXAへの納入を開始します。さらにJAXAと共同で、現在蛍光灯が使用されているISS内でのLED照明装置の採用に向けた課題検討、開発も進めてまいります。
 当社は、次世代光源としてLEDの可能性に着目し、1990年代初頭から業界でいち早く研究を進めてきました。LED照明器具のみで約400品種と、業界NO.1の品揃えで、店舗施設分野、屋外景観分野、住宅分野など、様々な分野にLED照明を展開しています。また、建築分野以外でもエレベータ、新幹線、工作機械用の照明などにもLED照明を展開しています。これらの実績や高い品質が評価され、HTVプロジェクトへの採択からHTVへの採用が決定。パナソニック電工は、照明器具のトップメーカーとして、地球上から宇宙船内空間まで、環境に優しい次世代照明により、快適で安全な空間づくりに努めてまいります。

■ 開発背景

 現在、ISSの日本実験棟「きぼう」内では蛍光灯が使用されていますが、ガラス管や水銀を使用していることから、破損した場合に搭乗員が傷害を負わないよう特殊な構造や多重の飛散防止措置を施した非常に特殊なものでした。これらの欠点を解消するため、従来の蛍光灯に代わる照明として、LEDに着目。2005年に企業・大学などと連携して宇宙ビジネスの創出を目指すJAXA主催の事業公募制度「宇宙オープンラボ」 の「技術提案型」に「宇宙船内用照明装置」として採択され、研究開発を進めてまいりました。

 2005年度は、概念検討を行い実現性を確認。2006年度は、仕様目標値の策定、部品・材料の試験を実施し、開発着手に向けての目処をつけることができました。これらの結果により、ISSの照明装置(蛍光灯)に置き換わるLED照明装置の実現性が示され、2007年度からHTV船内用照明装置の開発に着手してまいりました。
 宇宙船内の厳しい環境で使用するには、打ち上げ時の振動・加速度や、宇宙線(放射線)に耐えうる必要がある他、無重量空間での放熱、有害ガスを発生しない材料や難燃性材料の採用、ISSの電源装置に対する電磁適合性要求のクリアなど様々な課題がありました。当社は、民生用として地上で実用済の高品質のLED照明器具の技術を応用し、HTVでの使用に対応した要求品質を満足するLED照明装置を開発。さらに、様々な試験やシミュレーションなどによる検証を行い、2008年秋、詳細設計審査に合格し、HTVへの採用目処がつけられました。
 現在ISSの日本実験棟「きぼう」では、蛍光灯の玉切れが発生しているため、さらに当社はJAXAと共同で、ISS内での使用に向けた課題検討、開発を進めてまいります。

■ 特長

(1) 宇宙船内での使用に耐えうる安全性確保
 
・  ガラス管を多重に封入している蛍光灯に対し、LED照明装置は、LEDパッケージ自体も十分な強度がある上、周辺をシリコン材で充填しているため、万一破損しても飛散はほとんどなく、水銀レスで有害物質も使用していません。
・  打ち上げ時の激しい振動・加速度に耐える構造設計。指定された条件下による実際の振動試験でも検証済。
・  対流のない無重量状態(=輻射と伝導のみによる放熱)の条件で、器具表面や電子部品の許容温度を超えないよう、シミュレーション・設計検証を実施。
・  密閉空間で使用されるため、難燃性及びガス(臭気)の排出を配慮した材料・構造を採用。
  照明装置断面イメージ
   
(2) 宇宙船内での使用に耐えうる高信頼性設計
 
・  蛍光灯の場合は破損や寿命により不点灯になりますが、LEDは光束が低下するだけで不点になることはありません。
・  複数のLEDパッケージ(20個)で構成されているため、万一何個か点灯しなくなった場合でも、照明装置としての機能維持が可能。
・  電源部の不具合がおこった場合にも影響を少なくするため、照明装置内の電源部を2系統に分けて構成しています。(LED10個に電源1個)
・  宇宙線(放射線)による影響も、主要パーツへの電子線照射試験などにより確認を行っています。
  照明装置内部構成イメージ

■ 今後の計画

2009年夏頃  :  HTV用LED照明装置をJAXAに納入
2009年9月頃  :  HTV実証機打上げ(LED照明の搭載はなし)
2010年7月頃  :  HTV実用1号機打上げ(LED照明装置搭載)

 *以降年1機ペースで打上げ予定

■ HTV内での使用イメージ

HTV補給キャリア与圧部イメージ

■ HTVとは(JAXA HPより)

HTV構造図

 宇宙ステーション補給機(H-II Transfer Vehicle: HTV)は、日本が開発する、国際宇宙ステーション(ISS)へ補給物資を運ぶための無人の輸送機です。
 HTVは、H-IIBロケットにより種子島宇宙センターから打ち上げられ、ISSに接近後、ISSのロボットアーム(Space Station Remote Manipulator System: SSRMS)を用いてISSに結合されます。そして、食糧や衣類、各種実験装置など最大6トンの補給物資をISSに送り届け、補給を終えた後は、用途を終えた実験機器や使用後の衣類など不要品を積み込み、大気圏へ再突入します。ISSに結合中は、ISSの搭乗員が中に入って船内用物資を移送することができます。
 ISSへの補給手段は、スペースシャトルやHTV以外に、ロシアのプログレス補給船と欧州宇宙機関(European Space Agency: ESA)の欧州補給機(Automated Transfer Vehicle: ATV)がありますが、プログレス補給船やATVが船内用物資のみを輸送するのに対し、船内用・船外用のどちらの物資も輸送できることがHTVの特長のひとつです。

■ 参考イメージ(C)JAXA

参考イメージ
以上

■ お問い合わせ先

パナソニック電工株式会社 照明事業本部 LED・特品・新市場開発センター LED事業推進部
TEL 06−6908−1131(大代表)
照明・電気設備のEboxサイト (別ウィンドウが開きます)http://denko.panasonic.biz/Ebox/
LED照明器具エバーレッズシリーズサイト (別ウィンドウが開きます)http://denko.panasonic.biz/Ebox/everleds/index.html