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パナソニック電工株式会社は、乗馬型運動器具による脳活性効果に着目し、畿央大学森岡周教授(詳細後掲)の指導のもと、健常な高齢者女性30名を対象に、各種認知テストの学習促進を検証しました。
その結果、乗馬型運動器具にあぶみ体操を併用したトレーニングにより、即時記憶の学習促進が確認されました。
従来、運動強度の高い有酸素運動では加齢に伴う認知機能低下の抑制効果が示唆されていますが、低負荷の運動やスキルを伴う運動については研究事例が多くありません。
乗馬型運動器具はシートの揺動に対してバランスをとることにより、座位姿勢のまま身体の多くの部位で筋活動を自然に誘発できる器具です。 家庭内でテレビなどを見ながらMets2−3(ウォーキング程度)の運動が可能ですので、高齢者にとって始めやすく続けやすい運動器具です。 頭頂葉や前頭葉の脳血流計測による脳活性効果も報告されています。(※4)
今回、乗馬型運動器具を用いたトレーニングにおいて、運動強度を増やす訓練と、運動スキルを要求する訓練とを比較し、高齢者の認知テストおよび敏捷性テストに与える効果を検証しました。
なお今回の検証結果は、歩行機能向上結果と合わせて「第64回日本体力医学会」(2009年9月18〜20日:新潟)でも発表予定です。
| ※1: | 乗馬型運動機器:馬の歩行動作を簡素化した揺動パターンを繰り返すことにより、座っている使用者に対してバランスを取らせ、反射的に筋活動を誘発させる運動機器。今回は、乗馬常歩時の動作を再現した3軸動の機器を実験に使用した。 |
| ※2: | 足指の屈伸運動ができる隆起の付いた幅広のあぶみを乗馬型運動機器に取り付け、機器の動きに合わせて足指の体操と歩行動作を行う体操。 |
| ※3: | 1分前後の短時間の記憶のこと。日常生活では電話番号を暗記して電話をかけるといった作業がこれにあたる。 |
| ※4: | 立命館大学情報理工学部萩原啓教授らが第36回国際生理学会(2009年7月)で発表 |
58-69歳の健常な女性30名が対象。倫理委員会の承認を得、運動強度を増やして体幹を積極的に訓練する体幹運動群15名、あぶみ体操を付加してスキルを要求するあぶみ体操併用群15名に振り分け、乗馬型運動器具を用いた1回30分、週3回、12週間の訓練を実施。
3ヶ月の前後で、認知テスト(ストループ(※5)、N−バック(※6)、数字記憶(※7))および敏捷性テスト(全身反応、PVT)の成績を比較しました。
| ※5: | 画面に提示されるさまざまな色がついた文字(あか、あお、みどり、きいろ、のいずれか)に惑わされず、文字の色を答える。(たとえば「あか」と書かれた文字が「あお色」で塗られており、被験者は文字に惑わされず、文字に塗られている「色」を答えなければならない) |
| ※6: | 1桁の数字を数秒間隔で提示。3つ前に提示された数字と同じかどうかを判断する 。 |
| ※7: | 画面に提示される20桁の数字列を30秒間で先頭から記憶し、口頭で再生する。 |
(1)【即時記憶】スキルを要求するあぶみ体操併用群のみ、数字記憶成績が平均約2桁向上
(2)【集中力】あぶみ体操併用群と体幹運動群両方で、ストループ及びN−バックの成績が向上
(3)【敏捷性】運動強度を増やした体幹運動群で向上
| (1) | 【即時記憶】スキルを要求するあぶみ体操併用群のみ、数字記憶成績が平均約2桁向上 | ||
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結果: 【即時記憶テスト】あぶみ体操併用群のみ、数字記憶の成績が平均約2桁向上しました |
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| あぶみ体操併用群では、体幹運動群に比べて有意に数字記憶の成績が向上しました。 | |||
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| 数字記憶の成績(横軸)と、物忘れに関する主観(縦軸)が有意な相関(p=0.03)を示し、参加者の実感とも一致していました。 | |||
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| (2) | 【集中力】あぶみ体操併用群と体幹運動群の両方で、ストループ及びN−バックの成績が向上 | ||
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結果: | ||
| 【集中力】〈ストループ遂行時間〉両群で向上しました | |||
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| 【集中力】〈N−バック正答率〉両群で向上しました | |||
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| (3) | 【敏捷性】運動強度を増やした体幹運動群で向上 | ||
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結果: 【敏捷性】敏捷性テストは、体幹運動群で向上しました |
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「高齢者においては環境への適応能力を上げるために、こうした認知機能や筋出力を調節するといったスキルが大切です。今回の実験結果では、高齢者の認知機能の維持のために、運動の強度を上げるよりもバランスや動作のスキルを要求する訓練がより適している可能性がある、といえるでしょう。」
乗馬型運動器具にあぶみ体操を併用した場合の脳活性の効果を明らかにしていく予定です。
乗馬型運動器具は、無意識の姿勢反射を利用した運動器具であり、揺られながら手や足の運動を付加することが可能です。中高年のダイエットから高齢者の機能改善まで、さまざまな目的に活用いただけるよう、楽しい使い方と興味深いエビデンスを提案します。
他動運動技術は、乗馬型だけでなくさまざまなスタイルの運動器具へ展開できる技術です。
ユーザーニーズに合った、新しくユニークな運動器具の開発をこれからも続けてまいります。
略歴:
1992年 高知医療学院理学療法学科卒業
1992年 近森リハビリテーション病院、理学療法士
1995年 高知医療学院理学療法学科講師
1997年 佛教大学社会学部卒業
1997年 Centre Hospitalier Sainte‐Anne,Paris(France)留学
2001年 高知大学大学院教育学研究科修士課程修了、修士(教育学)
2000年 高知医科大学大学院医学系研究科博士課程(神経科学系専攻)修了、博士(医学)
2004年 畿央大学健康科学部講師
2007年 畿央大学健康科学部助教授を経て、現在、同大大学院健康科学研究科教授
略歴:
1977年 大阪大学基礎工学部生物工学科卒
同年 松下電工株式会社入社、電器R&Dセンター健康科学研究所主幹研究員を経て、
2003年 立命館大学理工学部情報学科教授として赴任
2004年 立命館大学情報理工学部知能情報学科教授